話を聞く ~洗耳恭聴~

夕焼けシルエットの男女

人の話を聞くのが下手な人の特徴として、ただ聞いて欲しいと思って話している人に対して、すぐにまとめたがるという傾向があります。

「こうした方が良いよ」

「つまりこういうことだよね?」

「絶対そうだよ」

といった具合に、すぐに答えを出そうとするのです。

一つずつ丁寧に自分の気持ちを話そうとしている最中に、あたかも理解しているかの様に話をまとめようとします。

この傾向は圧倒的に男性に多く見られ、物事の判断に対して気持ちよりも理論で応えようしているのですが、これは話を早く終わらせたい、もしくは優位性を持とうとしている、のどちらかではないかと思います。

もしそれ以外であるとすれば、相談されているから何かすぐに答えなければいけない、と思い込んでいるのかも知れません。

しかしいずれにしても、話を最後の最後まで聞いていないのであれば、それは聞いていないのです。

物事を伝える時に人はアドバイスを求めている場合と、とにかく話を聞いて欲しい場合とがあります。

そして意外かも知れませんが、かなり落ち込んでいる時ほど後者を求めていることが多いです。

とにかく最後まで聞いて欲しいと思っていますし、ただ尊重し受け入れて欲しいのです。

例えば、

「最近何だかやる気が起きなくて、気が付いたら涙が流れてる時があるの」

といった様な悩みをAさんがBさんに伝えたとします。

それに対して、

「それは精神的にだいぶ疲れているみたいだね、僕も心配だから一度心療内科に診て貰った方が良いと思うよ」

と、簡単にまとめてしまうのでは受け入れているとは言えません。

AさんはBさんに話を聞いて貰えなかったという印象しか残らないでしょう。

自分の中の特別な悩みを話したのに、世間一般的な言葉でまとめられたという悲しい気持ちになります。

例えBさんにそのつもりが無くてもです。

『聞き上手』という言葉がありますが、聞き上手な人はアドバイスが上手なのかと言えばそんなことはありません。

文字通り『聞く』ことが上手なのです。

聞いて聞いて聞くことによって相手は安心してまた話したくなりますから、面倒がらずに優しく寄り添い耳を傾ける、ということがとても大切なことではないかと思います。

何も難しいことや良いことを伝える必要はありません。そうすることで受け入れられたという安心感を得られ、少しでも心が楽になるのです。

本当に大切な存在だ、と心から感じている相手であるならば、話を聞くということは本来そう難しいことでは無いはずです。

ですが、馴れ合いの関係の中でいつしか薄れているものがあるかも知れませんし、元々話を聞くことが苦手だという方もいるかも知れません。

是非これを読まれている方は参考にして頂いて、大切な人への接し方を見直してみてはいかがでしょうか。

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