言うは易し行うは難し

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まだ20代の頃、私が運転して友達4人でドライブをしていた時の事です。

片側一車線の道路を約60キロで走行中、反対車線を走っていた大型のトラックが目前でググッと急に斜め走行になり、こちらの車線まで入って来ました。

左にはガードレールがあり、思いきりハンドルを切っても正面衝突は免れない状態です。

「うわっ!」

中にいる全員が声を上げました。

瞬間私は、全員が助かる避け方が見つからずに何も反応出来ませんでした。

一瞬身体が固まった様な感じです。

するとそのトラックが間一髪ギリギリのところでグンッとハンドルを切って自分の車線に戻りました。

かなり迷惑ですが、どうやらウトウトと半分寝ていた様です。

危なかったなぁ、ということでその時はそれで一旦終わりました。

それから少し経ち、今度は別で先輩女性の運転する車に私が同乗させてもらう機会がありました。

すると車内の会話の中で、前に車の事故に遭って足を怪我して手術した、と言うので詳しく話を聞いてみると、その女性が助手席に女友達を乗せて運転中、トンネルに入ろうとした時に一台の車だったかバイクが逆走状態で出てきた為、咄嗟に友達だけは助けなければと、運転席側前方をトンネルの角にぶつける様に避けて、足の骨を折ったということでした。

その女性の話を聞いて、私は自分が恥ずかしく思いました。

自分だけが犠牲になる様にハンドルを切る、という発想がその時の私には全く無かったからです。

しかも対象が子供とかではなく友人です。

まさに体を張って友人を守ったと言えるでしょう。

その少し前の私の体験では、刹那の判断でその選択肢が出て来ませんでした。

正直私の場合は避けるも何も無かったのですが、友人だけでも助けなければという発想が出てこなかったのは事実です。

20年近く前の話ですが、未だにはっきり覚えている位に自分が情けなく思いました。

“言うは易し行うは難し” 口ではいくらでも言えますが、実際に身を挺して他者を守るという事は生半可では出来ません。

そうしなければいけないという事は決してないと思うのですが、それから私自身はそうありたいという気持ちを持っています。

さて、20年経った今、私は変われているのでしょうか?

2013年のJR横浜線の踏切事故で、高齢者を救出して亡くなられたのも女性でした。

私はその方の足元にも及ばないかも知れませんが、少しは近い存在になりたいなと思うのです。

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